博士就活で使えるスキル

前回前々回と、専門性やスキルの観点からエントリーする企業の決め方や企業側の採用基準をカテゴリー分けしてきました。

 

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学生側の選び方としては、研究職の場合は

a. 今の自分のスキルや専門性がどれくらい企業の研究と一致して活かすことが出来るか

b. 具体的なスキルや専門性自体は直接活かせなくてもよいが、基本的な研究能力をどれくらい活かせるか

のどちらかの軸を以て企業選びをすると思います。

反対に企業の判断基準としては

1. この分野に人が欲しいというのが具体的に決まっていて、その技術を持っているかどうか、使えるレベルにあるかどうかが

2. 今会社にノウハウのない何らかの面白そうなスキルを持っているかどうか

3. 具体的なスキルは不問で、基礎的な研究能力が身についているか

の3つの基準のどれかで学生を見ているように思います。

 

a.の軸で就活を行っている学生が、1.の基準で採用を行っている企業とぴったりマッチングできる場合、何も他にスキルや専門性は必要ないでしょう。あってもよいですが、今のスキルを深く掘り下げていった方がその企業にとっては求められる人材になり得ます。

ですが世の中そんなにぴったりハマる企業ばかりではありません。さらに言えば上記の学生の例であっても、ぴったりマッチングできそうな1社のみしか就活しないということはリスクが大きすぎます。必然的に第2志望群としてスキルのマッチングが弱い企業を受けることになるでしょう。するとほとんどのケースでは、複数のスキル・専門性を持っていた方が就活に関しては有利に働きます。

このスキルや専門性ですが、数ばかり増やしてもそれらがニッチであればハマる企業は多くはないでしょう。つまり(就活を成功させるという目的においては)企業にウケやすいスキル・専門性を身に着けておくべきだと思います。

 

では、どんなスキル・専門性がウケやすいのか、というのが今回の記事です。あくまで個人的な見解ですので参考程度に見ていただければと思います。

 

・マウスなどの個体の取扱い

マウス等を用いた安全性試験や薬効試験、薬物動態試験は医薬品・食品といった「摂取する系」のメーカーでは必須です。前段階では菌や細胞を用いるのでしょうが、重要度から言うと動物個体を扱えるというのは大きなアドバンテージになると思います。マウスを使った新規アッセイ系を開発したり、自分にしかできない職人的な手術技術を身に着けたりしているとより価値の高いスキルになるかもしれません。

 

・画像解析、プログラミング系

バイオ系の大きな弱点は、数字に強くないと思われていることだと思います。ともすれば数字に強くない=論理性も弱いとまで思われることまであり得ます。そこでそのレッテルを覆すためのスキルとしてプログラミングは効果的です。「数字・論理に強いバイオ系」と思ってもらえるだけでも他の普通のバイオ系と差をつけることが出来ます。同様の理由にて、統計解析のスキルもおすすめです。企業の研究でも日々生物学的実験で得られた大量のデータを解析し解釈していかなければなりませんので、生物にも解析にも精通しているというのは価値が高いと思います。

 

・セルソーティング

セルソーティングができたおかげで内定が出たとか、セルソーティングのできる人間は引く手数多だよということを複数の人から聞いたことがあります。実体験ではありませんが、一応紹介しておきます。

 

・英語

研究スキルとはやや異なりますが、これも大きな武器になります。といっても帰国子女みたいにぺらぺら喋れる必要はありません。海外学会で発表から質疑応答まですべて英語で行ったとか、海外研究者が大学に訪問してきたときに研究に関する議論を吹っかけてやり遂げたとか、海外の研究室で少しの間研究をさせてもらったとか、そのときに仲良くなった海外研究者と今でも連絡を取り合っているとか、そういった事実があれば企業は興味を持ってくれると思います。英語をアピールする場合、上記のように積極性も同時にアピールできるのはお得かもしれません。

 

ここまで、ぱっと思いつくものを書いてきました。また思いついたら追記していきます。

 

就活でおすすめのスキルとは書きましたが、とはいえ就活のためだけに身に着けるようなスキルではありません。理想的には自分の大学での研究を進めていく上でどんな新しいスキルがあればいいのかを日々考え、身に着けていくことが大事だと思います。その上でそれがたまたま上記のスキルであれば就活でも使えると前向きに考え、「なんとなく使えるレベル」ではなく「ある程度自由に使いこなせるレベル」にまで高めていってください。