博士就活のスケジュール

まずは基本的なことから記事にしていこうと思います。今回はスケジュールについてです。

 

テレビを見ていると、ある日から合同説明会が一斉に開催されて今年も就活スタート…というようなニュースを目にすると思います。学生なら、毎年経団連が企業の採用広報活動開始時期と面接解禁時期を定めていることは知っているでしょう。ただ、これも有名かもしれませんが博士の就活(企業から見れば採用活動)はこの縛りを受けません。

では博士の就活の具体的なスケジュールはというと、だいたい以下の3つに分けられます。

 

a. 学部修士の就活が始まる前に選考をし、内々定(内々々定?)まで全て終わらせる。

b. 学部修士と同じスケジュールでまとめて行う。

c. 通年募集する。

 

研究開発が盛んな大きな企業で、毎年博士枠として数人かそれ以上採用しているような場合はa.かb.が多いです。一方、ベンチャーやIT系はc.が多い印象です。会社数が多くなるため、優秀な学生の取り合いが熾烈なのでしょうか。

この辺りは想像に難くないでしょう。学部修士の就活(経団連の定める時期を守るかどうか)と傾向は同じです。

 

ベンチャーもかっこいい選択だと思いますが、大企業の方が研究資金が潤沢で機器などの環境も良いことを考えると、折角博士号を取るのならそこそこ大きな企業に行きたいという方が多いのではないでしょうか。

その場合、a.タイプとb.タイプの選考期間は就活を最優先しなければなりません。その期間以外には採用活動を行っていないので。

博士学生には大変だと思いますが、これはマストです。今後の人生を間違いなく大きく左右するイベントですから、例えば仮病を使ってでも面接や説明会には行くべきです。

ただ、a.とb.両方のスケジュールで就活を行うと半年近く拘束される可能性があります。a.だけで決めてしまうつもりで3ヶ月くらい必死で就活し、もしも内々定がもらえなければb.でも就活するというパターンがリスクを減らすのには一番良いかと思います。第一志望がb.タイプだったときがややこしくなりますが、a.で内々定をキープできればベストですね。

 

あるいは博士号取得、卒業後に就活を始めるという選択肢もあります。募集要件で弾かれることは少ないと思いますが、採用されるかは不明です。博士が敬遠される理由のひとつに年齢が挙げられていることを考えると、個人的な印象では博士新卒よりも厳しそうです。

また、オーバードクターになる可能性のある方は考えなければならないことが増えます。これはまた記事を書きます。

 

c.に関しては経験がないのですが、面接等を臨機応変に対応してくれるという印象があります。研究に支障がない範囲でしか就活したくないのであれば、必然的にこのタイプの就活になるでしょう。

 

PIとの関係性や自分の交渉力、研究の進捗などと相談の上、悔いのないように就活スケジュールを立ててください。

スペックと就活戦績

この手の就活体験記に求められているのは

・どれくらいのスペックの人間が

・どのような戦略や考えで

・どんな企業に内定をもらったか

という情報ではないかと思います。

 

というわけで、まずは私の就活当時のスペックを紹介します。

身バレ防止のためにかなりぼかしていますがご容赦ください。

 

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性別:   男

所属:   東京以外の関東の国立大生物系学部 → 別の国立大生物系修士・博士課程

修士・博士課程の研究科は学部からの持ち上がりがいないという点で少し特殊でした。これに関してはいずれ記事を書こうと思っています。

卒業年:  ぼかしますが、博士号取得・卒業後5年以内

専門:   植物の生物学(学部)→ ヒト・マウスの細胞生物学(修士・博士)

スキル:  細胞関係全般、顕微鏡、プログラミング(数値解析・グラフ化程度)など

論文:   筆頭著者として1報(IFは5くらい)、共著者として3-5報

学会発表: 国内学会のポスター発表のみ数回

学振:   D3からDC2に採択

海外経験: 実験のためアメリカへ1.5ヶ月

英語力:  海外の方と英語でなんとか議論が成り立つくらい

浪人留年: なし

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こんなところでしょうか。

博士学生としては突出して良いわけでも悪いわけでもないと思います。

この他知りたいスペックがあったらコメント等いただけるとうれしいです。

 

就活中の戦略は今後少しずつ書いていくとして、こういうスペックの人間がどのような戦績を残せたかというと、

 

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エントリー: 10社くらい

ES提出:     6社くらい

ES通過:     3社(うち1社は他の内々定が出ていたため通過時点で辞退)

面接:     2社 × 数回

内々定:    2社

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です。

業界としては医薬品・医療機器・食品・化学メーカーで、すべて研究職でエントリーしました。

博士課程採用の性質上、研究にお金をかけられる大きな企業の割合が多くなります。

私の場合もエントリーした企業はほとんどが有名な大企業でした。

その中で10社中2社に内々定をいただけたのはラッキーな部分も多分にありますが、自分の売りは考えていたつもりですし、それが企業にハマったかもと思った場面もいくつかありました。

 

就職難易度が非常に高いといわれるバイオ系博士ですが、私のような平凡な博士学生でも採用してくれる企業はそれなりに存在します。

こういった情報が後輩たちの希望になればうれしいです。

 

理由

このブログを始めようと思ったのは、私が在学中や就活中に博士学生の就活情報の少なさに心細さを覚えたからです。

 

博士就職のブログを見つけたと思っても専攻が違ったり(専攻によって就職の難易度は変わると思います)、古い情報だったりして、案外ネットでも博士就活の詳細を知るのは難しいです。

先輩の博士学生が多い研究科や研究室ならまだしも、そうではない学生や博士進学を考えている段階の学部生や修士学生には、ネット上で手に入る情報が必要でしょう。

 

いざ就活をやってみると、意外と採用活動している企業が多いとか、悲観しなくていい部分もいくつもありました。

そういった諸々の私の経験が何か参考になればと思い、生まれて初めてブログというものをやってみている次第です。

ブログについて

初めまして。

 

博士後期課程に在学中の方、博士後期に進学しようと考えている方。

多くは博士号取得後、アカデミアで生き残っていこうという気概のある方々だと思います。

 

一方で民間企業と悩んでいる方、心折られて就職の道を探している方もいますよね。

このブログはそのような民間就職を考えている学生の方(特に生物系)に向けて、自分の体験談や気づきを書いていくつもりです。

 

バイオ系博士課程で研究をしながら就活をし、なんとか内定をもらい、なんとか博士号を取得・卒業した私の経験が、皆様にとって少しでも参考になればと思います。