研究概要の書き方

ESの準備は非常に大事ですが、博士卒の就活でほぼ必ず提出しなければならないのが、研究概要書です。これは博士卒特有なのでしょうか?修士で就活していないので分かりませんが、少なくとも修士の研究概要よりも博士の研究概要の方が重要視されているのではないでしょうか。今回はこの研究概要書の話です。

 

経験上の話になりますが、研究概要書のフォーマットとしては書式自由のA4用紙1-2枚という企業が多かったと思います。ですので、1枚バージョンと2枚バージョンを作っておくと楽かもしれません。企業ごとに問いが異なるESとは違い、基本的には使いまわせるので作業量としては楽だと思います。

 

肝心の中身ですが、読者層をよく考えて書いてください。普段学会発表などで想定している読者層よりもさらに専門性が遠い人たち、例えばバイオではなく化学や物理を専攻している人にも理解してもらえるような研究概要を書いた方がいいでしょう。例えば背景の説明に沢山のタンパク質や遺伝子が出てくるのであれば、なるべくパスウェイを単純化して必要な因子数を減らすとか、自分の研究のターゲット因子以外はタンパクA、遺伝子Bのようにぼかすとか、そういった工夫が必要です。

また、書式は自由ですので図は入れた方がいいでしょう。学会等のポスター発表でもそうですが、理想は図だけで理解できることです。ただA4要旨1-2枚の中では限られた数しか入れられませんので、最重要成果についての図を入れ、それは図だけで理解してもらえるくらい分かりやすいものにしてください。

それから、これは個々人が自分のどの部分をアピールしたいかによりますが、例えばパブリケーションの数をアピールしたいのであれば研究概要書の最後にそのスペースを設けてもいいでしょう。研究スキルの数をアピールしたいのであればその欄を作って大量に箇条書きすればアピールになるかもしれません。

エントリーシートの添削法

前回エントリーシートの添削についても書こうと思っていたのですが、長くなってしまったのでふたつに分けました。

 

というわけで今回はエントリーシートの添削について書きますが、私は他の人から添削を受けることができませんでしたので、研究に関する諸々の申請書等の経験も踏まえての見解を書こうと思います。

 

まず、エントリーシートを誰に見てもらうかという問題ですが、可能であれば学部生や修士学生の就活と同様、友人や先輩に頼むのが思います。特に博士卒で民間企業に行った先輩がいればぜひ協力してもらいましょう。

就活していることを隠していたり身近に頼れる先輩がいない場合、自分で添削を行うしかありません。私はこのパターンでした。申請書等でもありがちですが、この場合、自分の中では繋がっている論理が初見の人にとっては繋がっていないという部分がたくさん残ります。そしてこれらは何度自分で読み返しても気づくことが難しいです。

 

そこで重要になるのが、エントリーシートの第1稿を完成させる時期です。言いたいことは、なるべく早く第1稿を完成させるべきだということです。具体的にはエントリーが始まる時期の1-2ヶ月前くらいでしょうか。19年卒の場合、学部生・修士学生の就活が3月エントリー開始 - 6月内々定なので、それより1クール早くに第1回の博士採用活動が始まると考えると(過去記事参照)、11月ごろエントリー開始 - 2月ごろ内々定という感じでしょうか。すなわち10月中には第1稿を書いておくべきです。

 

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そうすることによって、1ヶ月後に自分のエントリーシートを見直した際(頻繁に見直すのは控えた方がいいかもしれません)、初見に近い感覚で読むことができます。そこで論理性や整合性を整え、最終版を作っていくのがいいでしょう。

とはいえまだ各企業のエントリーシートの内容は分かりません。どんな質問への回答を準備すべきか分からないという方もいらっしゃるかもしれませんが、時間も限られていますしベーシックな質問についてのみ準備をしておけば充分です。就活仲介サイトのマイナビリクナビにはエントリーシート作成支援のようなツールがあり、よくある質問が並べられていてそこに自分の回答を保存できます。そこにある質問のうち真面目系(「自分を動物に例えると?」のような質問は少なくとも博士の就活にはほぼ出てこないので無視します)のものに対して回答を作成することから始めてみてください。

 

上記の方法は、先輩や同期を頼ることができる方にも有用です。エントリーシートの最終チェックは自分の仕事ですから、早めに作成しておけばその分自分で行うチェックも客観的になり、よりよいものが完成すると思います。

 

最終的に目指すべきものは、

・自分のアピールすべき性格や長所が明確に定まっている(複数書いて散らかさない)

・アピールすべき研究スキルも明確に定まっている

・長所、研究スキル、研究成果、志望動機などが全体としてしっかりと論理的に繋がっている

これらを満たしたエントリーシートだと個人的には思います。みなさん頑張ってください。

博士就活的エントリーシートの書き方

2記事に渡って博士学生に企業が求めるスキルを書いてきました。

今回はそれらをエントリーシートにどう落とし込んでいくかについてです。今回も実体験に基づきますので、基本的に研究職を想定しています。ご了承ください。

 

まず一般論として、企業が学生を採用する基準は博士でも修士でも学部生でも似ているでしょう。すなわち

1. その会社に入社したらちゃんと活躍し、会社の役に立ってくれると思わせる「何か」を感じられること

2. 意思疎通がスムーズにとれること

3. その他思考や性格、人となりが面白いまたは会社と合うと判断されること

だと思います。

項目1.ですが、研究職採用の博士における「何か」とはもちろん研究関係のスキルや専門性です(過去記事参照)。

項目2.ですが、研究職の場合は意思疎通といっても口がとてもうまい人ではなく、最低限の会話力と進捗を正しく報告できる能力、それから成果をよりよくプレゼンする能力(これは大学での研究で培えますね)などの方が重視されるような印象です。

最後の項目3.は、社風やESを読む採用担当によるとしか言えません。採用後のミスマッチを防ぐためにも、ある程度ありのままの自分を見せるのも手かと思います。

 

これらを踏まえて、ESでよくあるいくつかの質問に対する回答につい、個人的な見解を述べていきます。

・自己PR、長所、強み、アピールポイント系

これに対しては、研究に関することを書いてください。博士卒に一番強く求められているのは研究スキル(上記項目1.)です。一番アピールしなければいけない部分ですので、これら自己アピール系の質問でしっかり描くべきだと思います。「自分の長所は○○で、これは研究のこんな部分に役立っていて、それはこのような形で成果になりました」という感じでうまくアピールポイントと研究スキルと成果を繋げてください。

 

・学業以外で頑張ったこと、挑戦した経験、挫折した経験系

サークルや習い事等、特筆すべき事項がある方はそれを書けばいいと思います。項目3.のアピールになります。そうでない方は、学業以外とはいえ研究にやや関連したことを書いて項目1.をアピールした方が、例えばあまり成果のなかったサークル活動を書くよりはいいと思います。おすすめとしては英語でのコミュニケーションや後輩の仕事の管理・ケアについて書くと、会社での研究でも役立つと思われるかもしれません。

 

 ・志望動機、就活の軸系

初任給で選んだ等、あまり失礼なものでない限りは多少の飾りはしつつもありのままを書いていいと思います。項目3.の自分の人となりを見てもらうことになりますので、合わないと思われれば落とされる可能性もありますが、その場合はどのみち入社しても合わなかったと割り切りましょう。一応企業の採用HPなどで求める人材等を教えてくれているところもありますので、そういったものを見ながら寄せていくのも戦略としてはありだと思います。

 

キャリアプラン

よほど自分の中にはっきりしたキャリアプランがない限りは、基本的には研究職として出世していくようなキャリアプランを書けばいいと思います。主任研究員辺りでバリバリ研究をし続けていくのか、管理側に回るのかは自分の好き好きで書いてみてください。

 

ひとまずこんなところでしょうか。また思いついたら追記していきます。

博士就活で使えるスキル

前回前々回と、専門性やスキルの観点からエントリーする企業の決め方や企業側の採用基準をカテゴリー分けしてきました。

 

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学生側の選び方としては、研究職の場合は

a. 今の自分のスキルや専門性がどれくらい企業の研究と一致して活かすことが出来るか

b. 具体的なスキルや専門性自体は直接活かせなくてもよいが、基本的な研究能力をどれくらい活かせるか

のどちらかの軸を以て企業選びをすると思います。

反対に企業の判断基準としては

1. この分野に人が欲しいというのが具体的に決まっていて、その技術を持っているかどうか、使えるレベルにあるかどうかが

2. 今会社にノウハウのない何らかの面白そうなスキルを持っているかどうか

3. 具体的なスキルは不問で、基礎的な研究能力が身についているか

の3つの基準のどれかで学生を見ているように思います。

 

a.の軸で就活を行っている学生が、1.の基準で採用を行っている企業とぴったりマッチングできる場合、何も他にスキルや専門性は必要ないでしょう。あってもよいですが、今のスキルを深く掘り下げていった方がその企業にとっては求められる人材になり得ます。

ですが世の中そんなにぴったりハマる企業ばかりではありません。さらに言えば上記の学生の例であっても、ぴったりマッチングできそうな1社のみしか就活しないということはリスクが大きすぎます。必然的に第2志望群としてスキルのマッチングが弱い企業を受けることになるでしょう。するとほとんどのケースでは、複数のスキル・専門性を持っていた方が就活に関しては有利に働きます。

このスキルや専門性ですが、数ばかり増やしてもそれらがニッチであればハマる企業は多くはないでしょう。つまり(就活を成功させるという目的においては)企業にウケやすいスキル・専門性を身に着けておくべきだと思います。

 

では、どんなスキル・専門性がウケやすいのか、というのが今回の記事です。あくまで個人的な見解ですので参考程度に見ていただければと思います。

 

・マウスなどの個体の取扱い

マウス等を用いた安全性試験や薬効試験、薬物動態試験は医薬品・食品といった「摂取する系」のメーカーでは必須です。前段階では菌や細胞を用いるのでしょうが、重要度から言うと動物個体を扱えるというのは大きなアドバンテージになると思います。マウスを使った新規アッセイ系を開発したり、自分にしかできない職人的な手術技術を身に着けたりしているとより価値の高いスキルになるかもしれません。

 

・画像解析、プログラミング系

バイオ系の大きな弱点は、数字に強くないと思われていることだと思います。ともすれば数字に強くない=論理性も弱いとまで思われることまであり得ます。そこでそのレッテルを覆すためのスキルとしてプログラミングは効果的です。「数字・論理に強いバイオ系」と思ってもらえるだけでも他の普通のバイオ系と差をつけることが出来ます。同様の理由にて、統計解析のスキルもおすすめです。企業の研究でも日々生物学的実験で得られた大量のデータを解析し解釈していかなければなりませんので、生物にも解析にも精通しているというのは価値が高いと思います。

 

・セルソーティング

セルソーティングができたおかげで内定が出たとか、セルソーティングのできる人間は引く手数多だよということを複数の人から聞いたことがあります。実体験ではありませんが、一応紹介しておきます。

 

・英語

研究スキルとはやや異なりますが、これも大きな武器になります。といっても帰国子女みたいにぺらぺら喋れる必要はありません。海外学会で発表から質疑応答まですべて英語で行ったとか、海外研究者が大学に訪問してきたときに研究に関する議論を吹っかけてやり遂げたとか、海外の研究室で少しの間研究をさせてもらったとか、そのときに仲良くなった海外研究者と今でも連絡を取り合っているとか、そういった事実があれば企業は興味を持ってくれると思います。英語をアピールする場合、上記のように積極性も同時にアピールできるのはお得かもしれません。

 

ここまで、ぱっと思いつくものを書いてきました。また思いついたら追記していきます。

 

就活でおすすめのスキルとは書きましたが、とはいえ就活のためだけに身に着けるようなスキルではありません。理想的には自分の大学での研究を進めていく上でどんな新しいスキルがあればいいのかを日々考え、身に着けていくことが大事だと思います。その上でそれがたまたま上記のスキルであれば就活でも使えると前向きに考え、「なんとなく使えるレベル」ではなく「ある程度自由に使いこなせるレベル」にまで高めていってください。

欲しい博士学生の基準は業界による

エントリーシートや面接では「自分の長所」や「学生時代に力を入れたこと」など、自分の性格やスキルをアピールするための質問が必ずあります。

今回はこれらの質問に答えるために必要な情報である「企業はどんな博士学生を欲しているか」を私なりに述べていきます。ただし実体験に基づきますので研究職のみです。ご容赦ください。

 

前回の記事で、エントリーする企業の選び方として4種類あげましたが、研究職は2種類の選び方がありました(下記記事参照)。

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 当該部分だけ抜き出すなら、

a. スキルや専門性がほぼ完全に一致し、活かせる研究職

b. スキルや専門性自体は活かせないが、基本的な研究能力を活かせる研究職

です。

 

就活をしていたときに気付いたのですが、学生側の企業の選び方に種類があるのと同様に、企業側からしても博士学生を研究職に採用する判断基準はいくつかあるような気がしました。私の感覚で分けると、

1. この分野に人が欲しいというのが具体的に決まっていて、その技術を持っているかどうか、使えるレベルにあるかどうかが判断基準。

2. 新しい風を取り込む目的で、(利用目的はその時点では不明確だが)今会社にノウハウのない何らかの面白そうなスキルを持っているかどうかが判断基準。

3. 具体的なスキルは不問で、基礎的研究能力(問題発見能力・問題解決能力・英語力・吸収の早さ・行動力・後輩の指導能力など)が身についているかが判断基準。

の3つに分けられると思います。

 

もちろん、同じ企業の研究職枠全てをあるひとつの基準で選別するのではなく、1.~3.の学生をある比率で採用していると思います。ただその比率は企業によって異なりますし、もっといえば業界ごとにある程度傾向があると思います。

例えば製薬企業は圧倒的に1.の傾向が高いです。理由のひとつは、大学でも製薬企業と似た応用系・医療系研究テーマが多いからだと思います。そういった応用研究をしている学生とバリバリの基礎研究の学生が面接で並んでいたとしたら、応用研究の学生の方が魅力的に映るのは仕方がないことでしょう。また少し言い方は悪いですが、大学での研究テーマがそのまま製薬企業の研究テーマになり得そうなとき、”その研究テーマごと買い取る”ような意味合いで学生を採用している(=企業に入っても大学の研究の続きに近いことをやってもらう)こともありそうでした。その学生にとっては、その研究テーマに飽きてさえいなければとても幸運ですね。なんにせよ、特許の競争が非常に激しく、特許をひとつ逃すことが死活問題になりかねない業界の特性上、できる限り即戦力になってくれる博士学生を好む傾向があるようでした。

反対に、医療機器や食品系の研究職は2.や3.が多いように感じました。恐らく医薬品ほど大学レベルで多くの研究がなされていないということと、研究開発や流行のスパンが短いために今持っているスキルが陳腐化する可能性が医薬品よりも高いというのが理由だと思っています。したがって、今必要でなくてもいつか必要になるかもしれないから面白いスキルの学生を採用しておこうとか、将来どんなスキルが必要になっても対応できる基本的能力が高い学生を採用しておこうとか、という思考になるのではないでしょうか。

 

ここで学生の皆さんにとって重要なのは、自分の企業の選び方と企業の採用の傾向をすり合わせなければならないということです。

例えばある学生が前記事のa. の軸で企業選びをしようと思ったら、本記事1.の基準で採用してくれる企業を探さなければならないのです。2.や3.の基準で採用されると他の研究をさせられるわけですから。しかしそもそもその学生の研究テーマ自体が基礎研究だったり、応用研究ではあるもののやや時代遅れの手法だったりすると、「その研究スキルや手法をそのままうちでもやり続けてくれ」と言ってくれる企業を探すのは非常に難しいでしょう。

反対に前記事b.の軸で企業選びしたい場合、狙うべきは本記事2.や3.の基準で採用している企業です。ですが大学での研究テーマで身に着けたスキルの数が少なかったり既存の手法の流用だけだったり、あるいは英語が苦手のままだったりすると、基礎的研究能力を十分にアピールできない恐れがあります。

 

ちょっと厳しい言い方をすると、前記事で「企業の選び方は自分が何をしたいかという趣味嗜好に基いて決めるしかない」と書いたものの、そこにはどうしても今の自らの研究テーマによってフィルターがかかってしまうということです。自分の趣味嗜好とは関係なく、テーマの所為でほぼ本記事2.や3.の基準で採用を行っている企業しか受けられないという学生は少なくないと思います(私もその一人でしたが、私は自分にとって新しい研究がしたかったのでちょうどよかったです)。

今すでに博士後期課程で研究を行っている方々は、正直そのあたりは覚悟していてほしいと思います。これから博士後期課程に進む方で将来的に就職を考えている方は、研究テーマ選び(ひいては研究室選び)から就活は始まっていることを頭に入れておいてください。

 

少し説教臭く、ネガティブなことばかり書いてしまった気がするので、次回は習得しておくとウケがいいかもしれない個人的におすすめのスキルを紹介しようと思います。

エントリーする会社の決め方

基本的なところは前回までで大方述べたので、少しずつ具体的な戦略を書いていきたいと思います。

今回はエントリーする会社の決め方についてです。

 

業種や職種を大きく分けると

a. スキルや専門性がほぼ完全に一致し、活かせる研究職

b. スキルや専門性自体は活かせないが、基本的な研究能力を活かせる研究職

c. 英語力や文章作成能力、論理力を活かせる研究職以外(弁理士やIT系)

d. 博士課程で培ってきた能力をどこで活かせるかはわからないが総合職系(研究に飽きた人?)

といった感じになるでしょうか。基礎研究の方はa.に当てはまる会社がなくて苦労すると思います。

 

正直、選び方は趣味嗜好の世界です。大学で行っている研究と密接にリンクした研究をしたいのか、別の研究をしたいのか、あるいはもう研究をしたくないのかという「自分は何をしたいのか」ということを自分でしっかり考えてください。世間一般では高校卒業や学部卒業のときにそれを考えて就活しています。それよりも5年以上も猶予があるのですから、自分なりの答えを出すことはできるはずです。

 

(9月21日追記) 全ての仕事に言えることですが、仕事には必ず人と人との関係がつきものですから、自分の同僚や先輩、上司になりそうな人との相性は重要です。やりたい仕事がはっきりしていてもうこの企業しか受けない!という人でない限りは、なるべく社員の方とお話しする機会を作ってもらい、なんとなくでも社風や人の雰囲気を肌で感じてみることをお勧めします。博士は人数が少ないので、人事にメールすると案外すんなり紹介してくれたりすることもあります(自分の大学のOB・OGにこだわる必要はありません。実際に研究職として働いている社員を誰でもいいので紹介してもらってください)。

 

また、リスクはできる限り減らしましょう。バイオ系の博士就活が厳しいことは間違いないので、第一志望がa.でもb.を何社か受けておくなど、当然ながら第二志望群・第三志望群くらいまでは作っておいた方がいいです。研究活動の忙しさと自分の妥協ラインとをすり合わせてエントリー数を決めてください。あるいはエントリーだけは10-20社くらいしておいて、志望順にエントリーシートを準備し、準備できなかった下の方は諦めるというやり方もありかと思います。

 

それからもし可能であれば、第一志望の企業よりもエントリーシート提出や面接が早い同業企業は1-2社受けるといいと思います。エントリーシートが通れば「ウケる」エントリーシートであると自信を持つことが出来ますし、通らなければ直すことが出来ます。面接についても、場馴れが必須ですから練習台として非常に適しています。

 

前回の記事も参照していただき、数ある企業の中から(といっても博士採用のある企業は学部修士と比べれば少ないですが)自分が納得できる企業選びをしてください。

 

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就活情報(企業情報)の入手法

よく「就活は情報戦だ」と言われます。博士就活も同様です。しかし就活をやってみて、大学によって情報格差がかなりあるのではないかと感じました。

 

情報といっても種類がありますが、ここではどんな企業が博士を取っているのか、その企業がどんなビジネスモデルでどんな業績か、どんな待遇かといった企業情報の手に入れ方を紹介します。

 

最初に情報格差があると言いましたが、情報強者になり得る博士学生は大きく2パターンあって

a. 博士卒の先輩が研究室や研究科に多く、その先輩たちのノウハウを手に入れることができる環境の人

b. 大学自体が博士・ポスドクキャリアパス支援に力を入れていて、その情報を入手しやすい人

です。

 

そもそも博士後期課程に進学する前から就職を見据えているのであれば、院試や研究室配属の時点でa. に当てはまる研究室を選んだり、b.に当てはまる大学の院試を受けたりすることもひとつの戦略だと思います。

 

では、そうでない研究室選択をしてしまった人はどこで情報を手に入れればよいのでしょうか。

 

ひとつは地道に企業のHPなどを探すことです。

新卒の募集要項を見て、博士卒専用ページや待遇欄に博士の給料が載っていれば、定期的に博士を取っている証左となります。ですがこの方法だと自分の思いつく企業しか調べることが出来ません。

そこで便利な方法が、業界の協会を調べることです。

例えば製薬業界を目指しているなら、「製薬 協会」などと調べると日本○○協会といった製薬企業や医薬品業界の協会がヒットします。協会によっては会員企業の一覧を載せていますので、そこから企業を知っていくことが出来ます。

 

とはいえ、ノーマークな業界は知ることが出来ませんし、ひとつひとつ企業を調べていくのは非常に時間がかかります。

そこで私が最もお勧めしたいのが、博士・ポスドク向けの企業説明会(合同説明会)に参加することです。特に、人材会社ではなく大学が主催するものがよいです。

実は、いくつかの国立大学では博士・ポスドクのキャリア支援サービスを他大学の学生も受けられるようにしているところがあり、そのひとつに大学主催合同説明会への他大学生の受け入れがあります。

この大学主催合同説明では博士採用枠のある自分の知らない企業をたくさん知ることが出来ますし、人材会社主催のものとは違って学生があまり多くないため、顔や研究スキルを売り込みやすいです。

具体的な大学名を出していいのか分からないので出しませんが、「国立大 博士 キャリア支援」と検索すると、他大学生のキャリア支援も行っている(ことを私が知っている)大学が2ページ目までにすべて出てきました(9月18日11時時点)。

 

こういったものを是非活用して、情報戦に負けないように頑張ってください。